Contents
後継者がおらず、インプラントの保証について悩む院長のお話です

60歳のとある院長は開業から32年間、同じ場所で地域の患者さんに支えられて歯科医院を続けてきました。
年齢的に医院の承継を考えはじめましたが、後継者がいない状況です。
この歯科医院の経営データは、レセプトは月に650枚、リコール数は毎月300人~350人です。
自費率は20%~30%ほどで内容はインプラントが中心、他には補綴も行っています。
院長は、後継者がいない中で、いくつかの不安を感じながら過ごしています。
不安の内容としてまず挙げられるのは、今後のインプラントの保証期間についてです。
この医院ではインプラントに5年保証をつけています。
保証書には「閉院の場合は、その限りではありません」という一文は記載していますが、院長としては5年保証を守りたいという思いがあります。
患者さんは自分を信頼して治療を受けてくださっている、と考えていらっしゃるためです。
しかし5年保証を守るためには、さらにその5年前にインプラントの診療をやめなくてはなりません。
それでは経営的にやっていけないと、院長の不安はつのるばかりです。
さらに、インプラントの診療をやめるとなると、スタッフや患者さんにも不安が生まれます。
長いあいだ地域に親しまれてきた医院なだけに、近所で「あの医院はインプラントを最近やめたらしいよ」などの噂が広まらないかという不安もあります。
以上をまとめると、
2. 経営的な問題なく承継を進めたいが、後継者がいない
3. 院長自身が現在65歳で、引退するまで5年間の保証付きインプラント治療が可能かどうか不安である。
このようになります。
院長は、これからどうすればいいのか見通しがつかない状況です。
院長が考えていらっしゃる出口の選択肢を挙げていただきました

次に、院長自身が現時点で考えていらっしゃる出口を挙げていただきました。
2. 閉院までの手順としては、徐々に施術の規模を縮小していき、5年~10年でインプラントの提供を減らす。最後は保証期間のみを設けるよう考えている。
身内に後継者がいないため、当院にはこの方法しかないのでは、と考えていらっしゃいます。
経営的に実費診療は減らせないので、どのような選択が最善なのか…と悩んでおられました。
医院の借金は既に返済されているものの、気が休まらないという状況です。
このような経緯で、院長はユメオカへご相談されました。
出口は「院長」と「歯科医師」の2つに分けて考えます

ここからはユメオカがご提案した内容について、ご説明いたします。
まず前提としてお伝えしたのは、閉院してしまうのは非常にもったいないということです。
後継者がいない歯科医院であっても第三者承継という方法で医院承継をすることは可能ですし、この医院には十分価値があります。
院長の考えは「徐々に医院を縮小し、するしか方法はないのかもしれない」というものでした。
また、第三者に承継するとしても「インプラントの5年保証を継続したい。経営的な問題が生じないように、そして体力的な面も含めて安心できるバトンタッチを行いたい」という想いがあります。
そこでユメオカでは、次のようなご提案をいたしました。

今回ご相談いただいた院長は現在65歳です。
何歳まで歯科医師として働けるかをお聞きしたところ「健康上に大きな問題がなければ、75歳くらいまで働けそう」とおっしゃられたので、75歳をゴールとしています。
それでは、図の①の案からご説明します。

インプラントの5年保証を続けるため、今から5年後の70歳までにインプラントの提供を終了します。それと同時に院長業も承継します。
そしてご自身はその後75歳まで、その医院で勤務医として活動するという流れです。
勤務医としての業務はインプラントの保証業務を中心に行い、デンチャーなどを可能な範囲で行うというものです。
次に、②の案について説明します。

現在院長は65歳ですが、早めの2年~3年後に医院承継し、院長業をバトンタッチするというものです。
その後、75歳ぐらいまで活動を続ける場合、70歳までにはインプラントの提供を終了し、保証業務に集中します。
この間、勤務医として活動しながら医院と関わっていくことになります。
70歳以降は、インプラントの保証とデンチャーだけを行います。
歯科医師としての業務は徐々に縮小していくというプランです。
上記2つの案の大きな違いは、
②の案……2~3年で医院を承継し、あとは勤務医として通常の診療を行う。70歳以降はインプラントの保証業務に集中する。
となります。
閉院以外にもこのような選択を取ることで、院長にとって最善の結果を得ることができるのではないかとユメオカでは考えています。
第三者承継のタイミングによって、メリット・デメリットは変わります

上記は、承継するタイミングによるメリットとデメリットを整理したものです。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
まずは、①の院長業を70歳まで続け、そこから承継した場合です。
メリットとしては、70歳まで院長としての収入を得られることが挙げられます。
デメリットとしては、病気などで体力が落ちてしまうと、インプラントの件数が増やせない・マネジメントに支障が出てしまうといったことから、医院価値が下がる可能性があります。
また、仮に体力が落ちてきたとしても経営的な面からインプラントはやめられず、体力的に非常に厳しくなる場合があります。
例えば65歳の院長が医院を売却して、1億円の価値がついたとします。
同じ医院でも70歳で売却した時には、院長が体力的に厳しくなったために医院価値は5000万円まで減少してしまう可能性があるということです。
さらに、院長の年齢が上がることで、新たなスタッフの採用が難しくなるというデメリットもあります。
特に、20代~30代のスタッフたちは、自分よりも10歳くらい上の先生のもとで働きたいと考える傾向があります。
そのため60歳~70歳の院長だと敷居が高く感じてしまうため、スタッフの応募が難しくなってしまいます。
次に、②の選択肢のメリットとデメリットについてご説明します。
メリットとしては、医院価値をピークにして売却できます。
例えば65歳の時の売却価値を1億円とすると、67~68歳までに1億5000万円まで上げて売却できる可能性が十分にあるということです。
医院価値を上げるためには、実費診療に関して精査することが重要です。
院長は実費診療をしないと経営が厳しいと悩まれていましたが、本当にそうでしょうか。
例えばメンテナンスをもう少し増やす、稼働率を上げるなど工夫し、メンテナンス率が上がるとします。
そうすると実費診療が少ないとしても経営は回るため、実費に頼らない医院として売却価値が高まります。
院長の体調面にもメリットがあります。実費診療をご自身の体調に合わせて調整できるというものです。
仮に67歳で医院を売却した場合、契約前提ではあるものの、勤務医としての業務を自分の体力に合わせて柔軟に調整することができます。
実費の診療を週5回から週3回に減らすなど、体力面のリスクを軽減した業務の継続が可能となります。
デメリットとしては、承継先の院長の意向により、自身の医院への関わり方が希望通りにいかない可能性があります。
そのため、承継の契約時に「今後このように医院と関わっていくつもりでいるけれど、大丈夫か」と、契約の取り交わしが必要になるかと思います。
①と②どちらが院長にとってより良い承継方法なのか検討し、最善の選択を取りましょう。
まとめ

身内に後継者がいない歯科医院でも、閉院以外に選択肢はあります。
具体的には、出口戦略を院長と歯科医師の2つに分けて考えることです。
今回挙げた2つの出口戦略のメリット・デメリットを整理して、どの方法が適切か判断しましょう。
ご自身での判断が難しい場合は、こちらよりユメオカにご相談ください。
随時、無料相談を承っております。
関連記事
75歳で引退!とぼんやり考えていた!しかし62歳で引退した歯科院長が次の夢へ
リコール数が月100人だった歯科医院が 月500人以上に増加した事例ストーリー
関連セミナー

ユメオカでは、以下のような歯科院長へ向けた無料セミナーを開催しております。
・身内に承継者がいないため、(地域的にも)閉院するしか道はないと考えている
・持病があり、いつ治療できなくなるか不安を日々抱えて診療している
・地方の医院のため「買手が見つからない」と考えている
・スタッフ採用が思うようにできず、この先のビジョンが描けない
セミナーはオンラインツールのZoomを使用するため、場所を問わずご参加いただけます。
詳しい内容、お申込みにつきましては、下記よりご確認ください。
また、ユメオカでは予防型歯科医院経営のマネジメントに関する教材を多数ご提供しております。
教材の詳しい内容・ご購入につきましては、こちらよりご確認ください。
問い合わせ
その他、お問い合わせはこちらから受け付けております。
お気軽にご相談ください。