「1人の新患」よりも「1人の中断」の方が医院経営に影響する理由

新患数とレセプト数だけ毎月確認するという院長は多いのではないでしょうか。

これらは分かりやすい数字であり、この2つの数が減ってくると経営に影響するためです。

しかし開業後3年ほど経過し、ある程度軌道に乗った医院さんにとって、もっと重要なのは中断率の低下です。

その理由についてお伝えしています。

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一般企業にある「ライフタイムバリュー」を歯科医院にあてはめてみます

統計をとると、リコール来院者が中断するタイミングは、3、4回目が最大です。

その理由は患者にしてみれば、およそ「なんとなく行かなくなった」です。

一方多くの医院が、この事態を目の当たりにしたときどう感じるでしょうか?

仕方ない? それとも「新患を集めることに注力しなきゃ!」と感じるでしょうか?

どちらにしろ、リコール中断率が高い医院は、その事実の重さへの感度が鈍くなりがちです。

たとえば、3回目のリコール中断率が50%の医院で、月に3回目来院予定者が20人いるとすれば、月10人が中断していることになります。

飲食店では初回客を獲得するコストとリピート客のそれは、10倍も違うと言われています。

1人の顧客を獲得するにも10倍もコストが違うのです。

つまり、リピート割合が増えなければ、店舗の経営はできなくなります。

広告中心で初回客を集める飲食店とは事情が異なりますが、歯科医院においても、初診とリコールでは、コストは大きく違います。

また、一般企業ではライフタイムバリュー(以下、LTV)という考え方があります。

それは、端的に言いますと「1人の顧客から生涯で得られる利益」です。

たとえば3カ月に1回、7千円を医院にもたらすリコール来院者。

彼らは、1年で2万8千円、3年だと8万4千円のLTVがあります。

たいていリコール来院者は口腔内の関心度が向上しますから、デンタルケアグッズの購入や自費診療を受ける率も高まり、LTVは、3年で平均10万円は超えると言えるでしょう。

つまり、月に10人×10万円で100万円も失うことを意味しています。

新患を増やす前にリコールを増やす意味をスタッフと共有します

「リコールが上がらないのは仕方ない、新患を増やそう」と考えた場合、これらの損失を埋めるためには、常に50人以上/月の新患を必要とします。

……が、そうたやすくいく医院は少ないようです。

もちろんリコール中断率が高い医院が失っているのは、収益だけでありません。

1つは、スタッフのモチベーションです。

リコール率が高い医院は、スタッフに物理的(給与、賞与、休暇など)の還元とともに、患者との≪つながり≫による精神的充足をもたらします。

そしてもう1つは、定期来院する習慣ができつつある来院者の「口腔内の健康、永く歯を残す」きっかけです。

今まで通ってくれた来院者の方を、高齢になってから後悔させることになるのは、とても残念なことではないでしょうか?

1アクション
「リコール1人失う」とは医院、スタッフ、患者さんにとってどんな意味あるか?1人1個づつ出しあう。

この内容を動画(約2分)で詳しく説明しています。


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ABOUTこの記事をかいた人

丹羽 浩之

株式会社ユメオカ代表 丹羽浩之。 ユメオカとは「夢とお金の作戦会議」の略。 2004年に独立後、現在までに教材は30種類以上を開発し、全国3,000医院以上がユメオカ・ノウハウを活用し予防型経営に取り組んでいる。 そして全国8名の提携コンサルタントによるコンサルティング、【会員制】予防型経営★実践アカデミー、【会員制】歯科『採用★定着』実践ラボを主催している。 また予防歯科、予防医療の普及に最も精力を注いでいる。 座右の銘は「得意淡然、失意泰然」。