医院承継をスムーズに進めるにあたっては準備が重要なのは私が言うまでもありません。そして準備で最も大事なのはスタッフ教育です。
と言いますのは前院長とは方向性は同じでも、考え方も方法も異なることが少なくありません。
そのため、戸惑うのはスタッフ達です。「副院長がこれからは院長に代わった」くらいの感覚だと、実際に承継した後に様々なトラブルが起こります。
当然、承継した新しい院長にそれらの負担が集中してしまいます。
承継後はシステムの変更、患者さんへの説明など、行うことが通常より多い中で、さらなる負担増になると大変です。
そこで、医院承継をスムーズに行うための手順を伝えします。
承継する院長の考えがスタッフに上手く伝わらない?それは伝え方の問題ではありません。

これまで2年医院で働いてきて本格的な医院承継を控える院長は、そろそろ理念や自分の考えをスタッフに伝えはじめます。しかし、スタッフには中々伝わらないことを実感しています。
そこで、あなたと同じような境遇の院長から次のような相談をいただきました。
【相談例】
今まで、正式な形で医院継承を行えていませんでした。
しかし、大きなトラブルが起こらなければ、2018年にいよいよ医院を法人化する形で正式な継承を行う予定です。
現在の医院は、良くも悪くもお友達感覚な状態です。
理念や考えを語っても、イマイチ響いてないように感じます。
僕の伝え方も足らないのかもしれませんが、どうしたらスタッフにエンジンがかかりだすのか? どういう状態になるとそうなっていくのか? そこを教えて欲しいと思います。
この【相談例】のように、院長は一生懸命に伝えているつもりなのにスタッフには中々響かないというケースはよくありますね。
こういった場合、「話し方が上手い、下手」という問題ではなく、話す順番を間違えていることが多いです。
その典型例は「これからの話ばかりで、過去を振り返っていない」です。
新規開業の場合、過去はないため未来の話だけで良いのですが、承継の場合は過去の振り返りからはじめないと、スタッフ達は戸惑いを感じてしまうものです。
ここが新規開業と違い、承継の最も難しいところで、丁寧に行っていく必要がある部分です。
医院承継は過去の振り返りから具体的な目標設定までを段階を経て行うと、スタッフも共感してくれます

【回答】
ご相談はスタッフのお友達感覚から脱皮で自立型組織へということですが、スタッフは当初「漠然と副院長が院長になる」という感覚しか得られないために、1年ぐらいかけて経営者であり全責任を負う院長であることを以下のように行動と言葉で認知させていくと良いと思います。
今までの医院の歴史の振り返り(1時間程度で)
ここまで成長した医院の30年以上の歴史と先代の院長の功績をスタッフとともに振り返る(30年の取り組みをできれば1年毎に紹介していくことで、今の医院がどう成り立ってきたのかを知ればスタッフも共感が強くなるはずです)
今後の方針
時代の変化に合わせて、これまでの理念や考え方を引き継ぎつつ、進化していくことを具体的に伝える。
例えば、「地域の子供達の口腔内を守り、予防化の推進」「予防化とは処置だけの話でなく教育を含めた価値観の創造に貢献していくこと」という感じにです。
「目標設定」(重きを置くことを3~7個も含む)提示する
例えば、
・リコール数月間200人
・小児矯正カウンセリング日を月1回設ける
・スタッフ向け予防化推進教育を月1回実施
というようにです。「今までの医院の歴史の振り返り」は1回で良いですが、「今後の方針」は当面毎月1回は伝え、「目標設定」も毎月状況の振り返りと軌道修正を伝えていくことを繰り返す。
これが1年続けば、スタッフの院長を見る目も変わり、自立型に変わっていくと思われます。
以上が医院承継の伝え方の手順です。
このように1回伝えれば良い事、複数回にわたって伝える必要があることがあります。
そして「これまでの過去を受け入れながら、新しいものを一緒に作っていこう!」というスタンスこそが、これまで働いてくれたスタッフを認めることにもつながります。
特に親子継承の場合、感情的なものがあって過去を否定しがちになることもよくあります、しかし、これをスタッフ達が聞かされても、戸惑いしか生まれません。
「過去の振り返り」を行うと感情が入ってしまいそうな場合は、第三者に入っていただいて過去を整理し、冷静に過去を振り返り、共有しながら未来の話をしていくことも効果的です。
1アクション
医院承継にあたって、これまでの歴史を振り返り整理しておく
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