メインテナンスにおいて保険だと患者さん負担は2,000円~3,500円程度です。
一方、メインテナンスの自費化となると8,000円~10,000円くらいだと思われます。
この差は3~4倍で、あまりに大きな差で「自分にはできない」と捉えてしまいがちです。
しかし、10mの壁を一度に乗り越えられないように小さな階段を作って登れば、乗り越えられます。
そこで、メインテナンス自費化につながるスモールステップについて歯科衛生士としても、臨床研修としても経験豊富で海外の予防歯科事情にも詳しい濱田智恵子さんにお話を伺いました。
【プロフィール】
フリーランスの歯科衛生士として臨床に携わるとともに、歯科衛士士のスキルを通した人財育成、歯科医院システム構築、歯科衛生士人事評価制度導入など臨床現場を行う会社、人財育成会社『株式会社Tomorrow Link』を2015年に設立。
歯科臨床コンサルタントとして、毎年1,000人近くの歯科衛生士と関わり、歯科衛生士の学びや成長、予防歯科を目指す歯科医院のサポートに尽力している。
2017年ではDHユニット4台で年間プラス3000万円売上実績がある。
歯科医療の運営は最終的にはスタッフにかかっていますが、始めから「出来る歯科医療スタッフ」であるわけではありません。
【教育への想い】
歯科医療の運営は最終的にはスタッフにかかっていますが、始めから「出来る歯科医療スタッフ」であるわけではありません。
そのため人を育てる「人財育成」が必要なのです。
Tomorrow Linkは歯科医療スタッフの業務を通じて、経営改善ができると考えております。
なぜならスタッフの業務での対応が経営にも大きく関わるからです。
丹羽:「先ほどの話を私が解釈すると、クリーニングというのはどちらかというと既成服で決められた形でどれが合うか、S/M/Lでどれが合うかという形。メインテナンスは審査するため、服でいうと仕立てを測ってその人に合った物を作っていくというイメージですか?」
濱田:「そうですね。イメージ的には既成とオーダーメイドという意識で良いと思います。まぁ既成服の方でも一応審査とかはするのですよ。保険でも。ただ、時間内にやるとなるとある程度限られた審査しかできなくて、きちんと細かく一歯一歯をチェックできてないというのは正直あります。」
丹羽:「何が違うのですか? 時間をかけて審査する事で何が分かってくるものなのですか?」
濱田:「例えば30分でやるとなると、プロービングという検査があるのですが、その検査時間もプラークコントロールが悪い方は、衛生士がプラークを100%とらないといけないと思ったりするためクリーニング時間が長くなり検査時間は短くなります。
プラークコントロールの悪い方はそもそもセルフケアができていません。いわゆる健康に向かいきれていない方です。30分のうち20分、25分かけないとスケーリングやクリーニングができなくなり検査の時間は短くなります。
でも本当は検査だけではなくて、そのプラークコントロールが悪い方というのは、口腔衛生教育がまだできていないという事なのです。
本当はその時間が必要なはずなのに、クリーニングに追われてしまって時間が終わってしまいます。だからお掃除屋さんになってしまうのですよね。
だけどプラークコントロールが良い方、いわゆる『自分の健康は自分で守る』と思ってしっかり磨いて下さっている方は逆にクリーニングする時間は短くて済むので説明時間は作れたりするのです。こういう矛盾がどの患者さんにも限られた時間でやるとなると起きてきます。
自費の場合、その患者さんに合ったトリートメントができます。
例えばポケットが深いと今はパウダートリートメントと色々あるのですね。
でもそのパウダーもコストはかかるので『やはりちょっと保険だと厳しいよね、費用はかかるから』という事になります。
そのため、オーダーメイドと既成服という形で提供できるのかなと思っています。」

丹羽:「なるほど。
その既成服とオーダーメイドの違いの物を衛生士さんが提供する時、先程濱田さんがおっしゃられたみたいに『最初に引く』というか『ええ、私が?』みたいになってしまう。
心が引いてしまうという事があると思うのですけれども、その心のスタンスを変えていくためにどういう事が必要ですか?」
濱田:「引くのも多分自分に自信がないのですよね。
衛生士さんは誰からも評価されることなく日々仕事をしているパターンが多いです。
そうすると自分は今やっている仕事でも『本当にこれで良いのかな』と思ってやっている人もいたりします。
もしかしたら少し我流になっていて、実際には『本当は少し違うのかな』とか『自分が本当に正しくできているのかな』と不安になりながらも今の業務をやっていたりします。
そして今度自費となると『いやいやいや、そんな責任がとれません』というような感じで引くというより責任がとれない。そんな事を思ってしまいます。
『もし何かあった時に』という怖さがあるみたいです。しかし責任をとらなければいけない事態は起きないわけで、やはり自信がないという方が大きいと思います。
自費のメインテナンスをするに当たっては『このぐらいのテクニックまでは必要だよ』というラインをきちんと示してやっていくというのは当然必要だと思っています。
だから新人の人がメインテナンスの自費をやるという事もクリニックさんとかであるのかもしれません。しかし患者さんは費用を払うわけですから、当然それなりのレベルのものを要求するというか期待してますよね。
それに見合ったラインというものを提供し、それを超えたら自費の患者さんを診られるような形をクリニックで取っていけば『引く』という事が無くなります。
いわゆる『あなた、これはできるしこれもできるし、これもできるからできますよ』と言ってもらえると『あ!じゃあできますかね』という感じになります。」
丹羽:「漠然とした不安から何か勝手に『責任が取れない』というふうになるわけですね。」
濱田:「はい。『何かあったら嫌だ』とか『こんな高いお金出したのに何かこうだった』と言われるのが怖いということです。」
丹羽:「しっかり基準を作ってあげて『ここをクリアできたら自信を持ってやれば大丈夫だから』という事ですね。」
濱田:「そうですね。スキルもそうですけれど、知識の方も両方テストみたいな形で『そのテストをクリアしたらできるようになるよ』というラインを作ってあげる事が大切です。
例えば『これができたらまず小児の事ができるよ』とか『これができたら大人の軽度の歯周病の患者さんが診られるよ』というようにスモールステップを作ります。
『これだと中等度くらい、これ重度くらい』という感じで、ある程度ステップを作ってあげると『自分が今ここまでできて、もう少し頑張れば次のステップにいけるんだな』という事がわかります。それをスキルと知識のガイドライン的なものを提供する事で、また衛生士のモチベーションというものも変わってくると感じています。」
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