そのため院長は勤務医の給与を固定給から歩合給に変更することを考える際、「数の勝負にならないか、チーム医療が崩れるのではないか」といった漠然とした不安が生じます。
そこで、ここでは予防型歯科医院にとって「歩合給導入によりどのようなデメリットが生じるか」をお伝えし、「勤務医の固定給をどのように変更すると良いか」について記述しました。
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勤務医を歩合給に変更したいが個人主義にならないか
ある院長から次のような相談を受けました。
『勤務医の歩合給制度を考えています。歩合は売上の20~25%とよく聞きます。
予防型経営で保険診療の場合、歩合率を小さくすると歯科医師が数をこなそうと本末転倒の現象が起こりかねません。
丁寧な診療を心がけて欲しいので、数で勝負して欲しくないと思います。どう考えたらよいでしょうか』
この相談に対する私の回答です。
結論から言えば、100%歩合給はシンプルで分かりやすいのですが、チーム医療が必要な予防型経営において100%歩合給はあまりお勧めしません。
ただ、勤務医を100%歩合給にする場合、売上の20~25%が一般的ですね。
といいますのは治療は「材料費25%、歩合給20~25%、助手給与10%、固定費35%、利益10%」という構成ぐらいが売上に対する支出比率のためです。
但し、メインテナンス分も売上対象にするとこの歩合のパーセンテージでは医院経営を圧迫しますのでお気を付けください。
また100%歩合給にしてしまうと、勤務医の方が無意識に数で勝負しまうことはよくあります。

歩合給には副作用がある!そこを考慮して給与設計することが重要です
そこでご提案は『(Ⅰ)固定給のみ (Ⅱ)固定給+歩合』です。
(Ⅰ)は、例えば固定給25万円からスタートし毎年、3~5万円ずつ上がっていく仕組みです(但し、上限あり)。
(Ⅱ)は、例えば固定給25万円に治療点数の7.5%というようにです。
1人の勤務医の方で月間20万点以上あれば、それ以上の点数分に対する利益率は上がる傾向にあります。
そこで20万点で現状の歩合(もしくは固定)と同じぐらいになるようにパーセンテージを設定するのがポイントです。
例えば入社時から3年間は(Ⅰ)で、それ以降は(Ⅱ)に切り替えても良いと思います。
この場合、100%歩合給の医院が他にある中で貴院がそうしない理由を事前に、勤務医の方に伝える必要があります。
例えば「当院は治療の数よりも質にこだわりたい、またチーム医療で連携することを大切にしたく、完全歩合は合わないためです」というようにです。
最後に補足ですが、完全歩合給にすると「ミーティングをすると残業代はどうなりますか? 勉強会するとその費用は?」といった要求が増え、院長のストレスが想像以上に多くなります。
この副作用も踏まえて給与設定されると良いと思います。
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