時間が短ければ歯科衛生士さんは大変になり「しっかり処置できない」「お伝えしたいことが伝えきれない」となります。
もちろん予約枠が長い方がゆとりをもって処置できます。
しかし、経営的な観点だったり、待ち患者さんの数だったりを考慮すると全て60分枠というのも難しいはずです。
そこで「リコール枠の時間をどういう基準を持って決めればよいのか」について、多くの歯科医院さんで指導されている歯科衛生士の岡村乃里恵さんにお聞きしました。
【プロフィール】
歯科衛生士として勤務後、一般の方々にもっとオーラルケア身近に感じてほしいと願い、2004年大阪心斎橋に歯とお口のオーラルケアショップ「スマイルケア」をオープン。
その場所で多くの歯科衛生士と出会い、悩みや喜びを共有し成長過程のサポートをしたいと考え、2006年にフリーランスとして「La precious」を起業する。
今春で9年目を迎え、現在、歯科衛生士育成インストラクターとして契約医院での歯科衛生士育成サポートの他、講演活動、2011年にはDH勉強会「Tender space」を立ち上げて奮闘している。
【想い】
歯科衛生士として仕事を始めて21年経ちました。
年齢を重ねるごとに人の役に立つことができたらと思えるのは、いままで多くの方に支えていただいたから。
出会うことができた方々に感謝し、これからはさらに多くの衛生士さんと出会い、歯科衛生士の仕事の楽しさ・奥深さを伝えていきたいと思っています。
身体は小さいですが・・ハートはとっても大きいです!
丹羽:「リコールのアポ枠は30分枠なのか45分枠なのか、特に忙しい医院さんはリコールが土曜日は2ヵ月先、3ヵ月先になる場合もあると思うのですが、どうされていますか?」
岡村:「そうなんですよね。」
丹羽:「迷うところですよね。でも、ゆとりある診療を衛生士さんにさせてあげたい。
この辺はどのようにお考えですか。」
岡村:「いいですか、自分の考えで。」
丹羽:「はい、どうぞ。お願いします。」
岡村:「やはりリコールでまずしなければいけないことは、きちんと患者様を診るということです。
30分枠の患者様もいらっしゃいますし、どうしても今日カウンセリングを行いたいという患者様には60分。
これは衛生士における自由度ですね。
きちんと選択できる衛生士になってきた時にいただける選択権だと思っていますがベースは45分で考えています。」
丹羽:「ベースがまず45分ね。」
岡村:「ベースは45分、でも絶対45分というわけではありません。
敢えて30分にする患者さんもいらっしゃいます。
ただ、入ってこられる時からきちんと患者様を観察し、『前回は何月何日にお越しくださいましたね』と必ず前回の話から入ります。
『寒い日でしたね』みたいなお話から入って、『3ヵ月間お口の中の状態、お体の状態、何かお変わりございませんか?』というような会話にもっていく。ヒアリングです。
そしてお口の中をきちんと診査する。
リコールは大きな変化のないことが成功だと思っています。」
丹羽:「なるほど。」
岡村:「治療段階ではよくなることを目指すため、『よくなりましたね』とモチベーションを上げやすいと思います。
ですが、メインテナンスには終わりがない。
『長いつき合いになりますよ』とお話をします。
その中で変化がないことを患者さんと一緒になって喜ぶとことがメインテナンスの醍醐味だと思っています。
変化がないというのは、きちんと数字やデータを取り、管理をするということが一つです。
そしてそれだけではなく、患者さんと一緒に見比べて『変わってないですよね。よかったですね。そのためにお越しくださってますものね』と、一つ一つ確認して伝えて喜んでといこうとすると、時間が必要になってくるんです。
そこから細菌コントロールや、少しずつ年齢を重ねていかれる患者さんでしたら機能訓練のお話をします。
もう一度会って変化が起き始めた時は、シュガーコントロールの話をしたり、禁煙の話をしたり、いろんなプラスαというものを持っていく、きちんと確認共有して喜んでというステップを考えると私は院長先生に45分くださいとお願いしています。
30分だったら、こちら側のプロケアだけで終わってしまう医院さんは、患者様がただお掃除に来ているという考え方でされていると続かなくなってしまうと思います。」

丹羽:「ベースが45分なんですね。ちなみに45分が30分になったりとか、60分になったりとかっていうことですよね。」
岡村:「あります。」
丹羽:「それは30分になっても大丈夫だよっていう判断基準は何かあるのですか?」
岡村:「あります。完全に自分でセルフコントロールの行き届いていらっしゃる患者様『もう完璧ですね』という患者様もいらっしゃいます。
介入について『もう私がすることはありません。私がすることは【できておられます】』という患者様です。
もちろん長時間寝ていることがしんどい患者様もいらっしゃいます。
だからすべて自分本位で考えるのではなく、患者様がお昼休みに時間を使って来られているのであれば『少し早口で話しますね』と言いながら手を早め時間を調整しています。」
丹羽:「逆に45分よりも長くなるのはどんなケースですか?」
岡村:「長く歯周病のサポートに入った患者さんです。
数字が動き始める頃があるんです。
例えば、歯間ブラシを通していらっしゃる方、歯間ブラシを通している時『ん? 何だろ、この出血』『何だろ、変化始まったな』ということを感じ始められます。」
丹羽:「なるほど、変化をね。」
岡村:「長いサポートなのでいつもと同じ、ずっと同じことをしていても、気が抜けている時、反対に気をとられている時ってたくさんあると思います。
でもそれはきちんと伝えなくてはいけないと思い、その場でよく考えるんです。
数字が動き始めた時に、一旦『何かありましたか?』と聞くと『うーん、ちょっと忙しくてね』っておっしゃいます。
『そうだったんですね。少し数字が変化しているから心配です』という言葉で終える。
そして次回来られた時にアポを15分延ばしています。
その時に変化がなければ『ああ、よかった』と終わるのですが、変化があれば『今日はここではなく、座ってお伝えしたいことがあります』と場をぴしっと変える。
『数字が動き始めています。お口の中に変化が出始めています。
この始まりが大事なので、今日はもう一度歯ブラシをどのように使っていらっしゃるか確認させていただいてよろしいですか?』と先に言ったり、その日を60分枠にしたりしています。
いつもよりプラス15分のカウンセリングです。」
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