リコール数がさらに増えれば、新患の予約が入れずらくなります。
そんな時、院長は「チェア増設」するか否かを真剣に悩むことになります。
しかし、増設すれば患者さんには喜ばれる一方、経営リスクが増えるため「そこまでして行うべきか」という懸念が院長の頭の中をグルグル回り始めます。
そこで、この頭の中のグルグルをストップし「増設するか否か」の判断をする考え方と方法をここでは具体例を出してお伝えします。
安心して増築できる考え方を知ることで診療に集中することができます。
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チェア増設に迷う院長におそってくる不安
リコール率(ユメオカの定義:リコール数 ÷ 全患者延数)が30%近くになり、予防管理型が定着しはじめると、チェア増設や拡張についての検討がはじまります。
もちろん、予約が取りずらくなり患者さんに負担をかけていることを解消することも増設を考えるきっかけになっていると思います。
しかし、チェアを増設すれば「スタッフ数も増えるし、固定費も増える」忙しくなるだけで利益は減ってしまうのではないか? または増える借金の返済は大丈夫か? といった漠然とした不安も院長には生じます。
現在、利益もそれなりに出ているし、ここからまたリスクを増やして経営していくのが本当によいのだろうか? と思い、頭の中がグルグル回って決断できないことがよくあります。
この状態は、無意識に日常の診療に影響がでてしまいます。
そこで今回は「チェアを増設しても大丈夫かどうか」の判断基準を一事例を基にご紹介致します。
開業5年でこれまでチェア3台で診療してきた医院で、拡張工事をしメインテナンス用のチェア増設を考え始めた院長がいます。
拡張工事と増設チェア1台で、500万円程かかる見込みです。
一番わかりやすく覚悟が決まる基準の持ち方は、この初期投資を回収するのにどれぐらいのリコールが月間で埋まればいいか? です。
これが分からないままだと増設の覚悟がつかなかったり、タイミングを間違えたり、売上は増えても利益がでない状態になりかねません。
まず、チェアの回収期間です。
減価償却基準などはあくまで会計上のルールでしかないため、それを基にすると危険です。
ユメオカではチェア増設は「5年回収」で考えます。
「なぜ、5年か?」というと、チェアは通常10年以上は使えますが、途中で修理など発生します。
それを加味すれば5年回収が妥当です。
また、5年で回収できれば、6年目以降は利益率が高まります。
では、早速計算です。

方程式に当てはめて計算すると不安が消えます
初期投資総額500万円は、月間で(500万円÷60カ月(5年)=)8.4万円の経費増。
次に、チェア増設に関わる歯科衛生士さんなどの増員を忘れないでください。
大抵は1人ぐらい増員を見込むため、そのコスト増も加味する必要があります。
歯科衛生士(年収300万)1人が増やした場合、年収の1.5倍(社保や研修、諸費用等必要のため)で年間450万円のコスト増が見込まれます。
月間で考えると、450万円÷12カ月=37.5万円/月のコスト増。
チェア増設による月額のコスト増は、8.4万円(チェア)と37.5万(衛生士)の合計で約46万円/月になります。
この費用を粗利ベースで、リコールが増えればいいかを計算します。リコールの場合、材料費はほぼ0のため、売上=粗利で考えます。
リコール売上を@6千円とした場合、(46万円÷6千円)で約77人が必要です。
つまり、チェア増設+衛生士1人増で、今より月間77人以上のリコール増が5年以上続くことが基準です。
まとめると、この医院さんでは以下の2つの質問が、増設タイミングの成否を確認できます。
・月間77人のリコール増は、増設後どれくらいの期間で達成できそうか?
・月間77人以上のリコール増を、5年以上維持するために必要なことは何か?
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