そんな院長に向けて、「横柄な勤務医への対応、医院への貢献度を客観視できる収支構造の求め方」について詳しく解説しています。
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スタッフに横柄な態度で接する勤務医に困っています

広島デンタルクリニック(仮)に入社して1年目の、勤務医の方(Aさん)に関するお話です。
Aさんは普段、患者さんには丁寧な対応をされています。
けれどスタッフに対しては横柄な態度が目立ち、医院の中で問題となっています。
院長自身も、多くのスタッフから「Aさんは特に大人しいスタッフに対しては言い方がきつく、扱いもすごく横柄」だと相談を受けています。
最近では、受付のスタッフに対して「新しいレセコンが使いづらい」「自分の代わりにやっておいて」など、文句を言う・り業務を押し付けると相談を受けたばかりです。
スタッフも院長も仕事がやりにくく、正直、困った状態です。
院長だけでなく、院長の奥様も毎日心配されています。
院長の奥様は「Aさんにされた事、言われた事、パワハラ的な事があれば私に詳しく報告してほしい」と、スタッフをフォローされています。
勤務医の方がこういった横柄な態度をとる背景としては、潜在的に自分で売上を上げているという意識があります。
そこから、スタッフに対して横柄な態度を取ってしまっても仕方がないという考えになってしまっていることが挙げられます。
こういった考えの勤務医の方は、特に珍しいわけではありません。
みなさんの医院にも、こういう方がいらっしゃった事はありませんか?
横柄な態度をとる勤務医がいる院内の状態

いくら患者さんに対する対応がよくても、スタッフに横柄な態度を取る方がいる医院の雰囲気は、決して良いものとは言えません。
具体的な問題点としては、
- 院長や他の勤務医も含めた全員のテンションが低い
- スタッフが怖がっている
- 「一緒に仕事をしたくない」と言う方もいる
などがあります。
これではスタッフ間の連携も取れませんし、医院全員が同じ方向を向いて取り組むことも難しいですよね。
こちらの医院では今のところスタッフが大人な対応として勤務医の方にうまく合わせてくださっていますが、どこかで必ず限界は来ます。
こういったケースにおいて、院長は非常に迷われるのではないでしょうか。
勤務医の方に注意をして、やめてほしいと言わないといけないことは承知かと思います。
ただ、そこでへそを曲げて辞められてしまうと、点数が減ってしまうという経営的な不安もありますよね。
スタッフと経営といった狭間で迷ってしまうというのはよくあるケースです。
収支構造を求めることで、院長は覚悟を決めやすくなります

もちろん、このままにしておく訳にはいきません。
院長が腹を決めて、勤務医の方に注意するためにはどうすればいいのでしょうか。
それは、しっかりと収支(数字)の裏付けをとっておく事です。
詳しい収支がわかれば、院長は覚悟を決めて勤務医の方と面談しやすくなります。
注意すべきことは注意し、態度を改めていただきたいですよね。
それではさっそく、この医院の勤務医と衛生士の売上の収支構造を見ていきましょう。

詳しく説明していきます。
この医院では、1人1台、個室で診療しており、Aさんは月に2000千円、保険点数で約200千点を売り上げています。
勤務医の場合は材料費や技巧費など、変動費と言われるものが売上の20~25%となります。
この医院では変動費が500千円となり、残りの1500千円が粗利となります。
固定費の人件費とは、勤務医とアシスタントの、賞与まで入れた給与を当てはめます。
勤務医は賞与と社会保険(医院負担)込で月に500千円、アシスタントは月に300千円で、合わせて800千円となります。
交通費と福利厚生を入れると二人でプラス100千円くらいなので、人件費は合計で900千円となります。
次にユニット1台あたりのその他固定費を出すため、人件費以外の固定費をユニット数の6で割ります。
その結果、ユニット1台あたりの固定費は350千ということになります。
以上から、粗利の1500千円から固定費である人件費900千円とユニット1代あたりのその他固定費350千円の合計1250千円を引きます。
そうすると、月に250千円の利益があがっていると概算ですが求めることができます。
では、衛生士さんはどうでしょうか。

衛生士さんは1500千円を売り上げており、勤務医より500千円も低いです。
ただ、変動費の中にある技巧費はほとんど必要ないので、衛生士さん1人あたり100千円が変動費ということになります。
そうすると粗利は1400千円ですね。
人件費は、この衛生士さんは非常によくできるので月収が330千円、社会保険や福利厚生も換算すると、月に450千円の人件費となります。
1台当たりの固定費は先程のドクターと同じで月350千円。人件費と合わせて800千円となります。
以上から、粗利から固定費を引くと600千円の利益となることがわかりました。
院長は収支構造を知って、「こんなに違うんだ」と衝撃を受けました。
今までは売上や保険点から、なんとなく勤務医の方が利益を上げていると思っていましたが、実際は衛生士のほうが点数は低いものの利益は多かったのです。
この医院では、ドクターは250千円、衛生士の方は600千円の利益を上げています。
2倍以上違うわけです。
これがどういうことかというと、ドクターが2か月かかって得られる利益は、歯科衛生士が1ケ月で得られるものということです。
月に1500千円の売上というのが具体的にどういうものか、SPTⅡに限定して換算してみましょう。
1日に7人、20日に140人で約1100点の保険点数となり、売上は1500千円となります。
特に珍しいというわけではなく、これくらい売り上げている衛生士さんは今は普通にいらっしゃいます。
点数ベースで考えると衛生士は低いのですが、利益ベースや医院経営から考えると、勤務医より約2倍も利益が多くなります。
数字から考えると勤務医に注意しやすくなります

これらから、院長はどんな判断ができるでしょうか。
「勤務医には点数を上げてもらっているから、仮にいなくなってしまうと痛手になってしまうので強く注意できない…」と考えていらっしゃった院長も、臆することはありません。
むしろ、衛生士に比べると影響は少ないのです。
勤務医がいなくても衛生士の枠が埋まっていれば、しっかり利益が得られるのです。
この広島デンタルクリニックでは、ユニット6台で予防型歯科医院の経営をしていく中で、予防を優先していきたいという院長の想いもあります。
勤務医は3人いますので、仮にAさんが辞めてしまったとしても、それほど影響がないことがわかります。
今回のように収支構造がわかると、「注意しなくてはいけないけれど、へそを曲げて辞められるかもしれないから言い出しにくい」という院長の気持ちが大きく変わります。
「勤務医の態度で他のスタッフにストレスがかかっていて、この状態が続くと医院にとって良くない。改善されないのであれば退職されても構わない」という姿勢で臨むことができます。
精神論ではなく、医院の収支の貢献から考えることで院長がしっかりと判断できるようになります。
必要であれば、勤務医に医院収支を説明してもいいでしょう。
勤務医は通常、点数だけを見ます。
そのため「衛生士よりも自分の方が点数を上げているんだから、自分の方が医院に対する貢献度も高いんだ」と思われている方もいらっしゃいます。
ですが、実際には違います。
こういった事実をしっかりと受け止めていただくことで勤務医の態度が改善されるのであれば、収支に関する話も必要かと思います。
(※)
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