また、スタッフに「補綴カウンセリングを依頼すると、怪訝そうな顔されたのでやめた」という院長もいると思います。
初診カウンセリングと違って、補綴カウンセリングをお金に関わることも患者さんに伝えなければなりません。
そのため、単にカウンセリングの方法やテクニックを習ったところで上手くいかないものです。そこで、補綴カウンセリング導入をスムーズに進める手順について記しました。

Contents
補綴カウンセリング研修に参加しても、うまく導入できない理由があります
「歯科医師は診療のアポで多忙なため、できれば歯科医師以外のスタッフに補綴カウンセリングを行ってほしい」
「最終的にはドクターの判断も必要なので、補綴カウンセリングをスタッフに全て行ってもらうのは難しいが、一部でも任せられれば、患者さんの満足度も医院の収益にもつながりそう」
と思いながら、院長はスタッフにそのことを伝えると、スタッフはあまり良い反応を示さないことがあります。
その理由は、カウンセリングを行いたくないのでなく、心理ブロックがあることが多いです。それは例えば、
・補綴の説明で患者さんから質問されたときに答えられなかったどうしよう
・保険外診療(自費)を提案をして、患者さんに嫌な顔をされたら嫌だ
・お金が絡む話はそもそも苦手
といったことです。
一番上については最初はだれでもそうであり、練習したり知識を増やせば、時間が解決し何とかなるものです。しかし、下の2つはやっかいです。
なぜなら、知識で補えるものではないからです。
そうです、いくら補綴カウンセリングの研修会などに参加してみても、うまくいかない理由はこの心理ブロックにあるのです。
それでは、どうしたらよいのでしょうか。

研修の前に心理ブロックを外すことが必要です
ユメオカでは補綴カウンセリング(ユメオカの場合、予防型医院向けに補綴選択カウンセリングと呼んでいます)のやり方研修を行う前に心理ブロックを外す研修を行っています。
つまり、
テクニック << マインドセット
だと考えているためです。このマインドセットを行うには、
・保険診療とは何か?
・そもそも自費診療がなぜ存在するのか?
という原点に返って学び、考えていただくことが必要です。そこから“気づき“が生まれることで、心理ブロックが外れていくためです。具体的には
「〇発想を□発想に切り替える」
ことをしています。

この図のように多くの人は保険と自費をこのように捉えています。
つまり「治療は保険が中心であって、特別な治療を望む人だけが自費で行う」という考えです。
保険があるのに自費で行うのは「特別な人が特別な治療をする」ためにあって、自分たちにには関係ないというようにです。
これが〇発想の考え方です。
そして、この考えのままではいくら知識やスキルを学んでも、進まないことが多いです。
しかし、日本の【憲法】には次のように記されています。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
そして、【国民健康保険法】には次のように記されています。
この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。
簡単に言えば「国民皆保険制度は、最低限の生活を営むためにできる治療だけを国が平等に補助します」ということです。
つまり、自費診療は特別な人のための特別な治療ではないわけです。
同じ症状でも、治療には様々な選択肢があります。
その中で「最低限の治療でよい人のためにその治療に限って、健康保険制度を使うことができますよ」ということなのです。

この図のように、たくさんある治療法の中で、左下□の一部(最低限の治療)だけが、国民皆保険を利用できる治療だということです。
〇発想のように保険が中心にあるのではなく、保険治療は国民皆保険が利用できる一部の治療に過ぎないということです。
つまり医療提供側は「その選択肢を患者さんに提供し、その中で選ぶ権利を患者さんに与えなければならない」わけです。
「勝手に保険で行う」と決めつけて、選択肢を提示せずに保険で行うのは、患者さんの権利を奪ってしまうことなのです。
このように〇発想ではなく、□発想に切り替えることから心理ブロックは外れていきます。
そして、スタッフ向けにまずこれを行わないと、補綴カウンセリングは機能しないものなのです。

スタッフの心理ブロックを外すための研修の進め方があります
繰り返しますが、このように
テクニック << マインドセット
であり、マインドセットからはじめることが大切です。それでは具体的にスタッフにどのような手順で研修を行っていくと、スタッフが心から納得して補綴カウンセリングを行えるか? についての手順を示します。
2)気づきの共有
3)スタンスの確立
⇒選ぶのは患者さん、自分たちは選択肢を提供する役割
4)補綴選択カウンセリングの手順説明
5)ロールプレイング
6)患者さん向け実施
7)改善点の洗い出し
このような手順で行います。
マインドセットの部分は、1)~3)にあたります。
2)の段階で「保険診療とはそもそも何か?」「自費診療がなぜあるのか?」について、スタッフ間で共有しあいその結果、3)のスタンスを医院として確立することです。
それは、補綴選択カウンセリングを行う目的は例えば
・医療サービスの1つとして実施するもの
・あくまで選択肢を得るのは患者さんの権利
・選択肢から選ぶのは患者さん
・保険だろうが自費だろうが、患者さんが納得して選択できたことが成果
というようにです。

ここまで確立できると、4)以降の研修にスタッフが取り組む意欲が変わってきます。
関連記事
補綴カウンセリングを成功させる! 話の入口を整えるコミュニケーション
▶「補綴選択・初診・治療計画・リコール」などカウンセリング教材
