中でもよくあるケースが、聞きたいことをぼやかして聞いた結果、患者さんも何を答えればいいのか分からなくなってしまった、ということです。
そこで今回は、聞きたいことをしっかり伝えながら、相手に「気分を害されないようにする」ためのテクニックをお教えします。
これを覚えておくと、患者さんはもちろん、スタッフとのコミュニケーションにおいても、随分と気持ちが楽になりますよ。
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補綴コンサル時に患者さんに“聞きづらい“ことがあります

先日、補綴コンサルの研修に参加してきたスタッフが、習ったけれど「患者さんを前にするととても聞きづらい」という話をしました。
「今からかぶせものをどれにするかについてご相談していきたいのですが、その前に、今回悪くなった歯に関して、元々はどのような辛かったことや不具合がありましたか?」
これを伝える意図をそのスタッフに確認すると、「最初、過去に治療してつらかったことを思い出してもらうことで、より良い提案につなげることができる」と習ったとのことでした。
確かにいきなり患者さんにこのように聞くのは、ちょっと勇気もいりますし、不機嫌になる患者さんもいそうです。
そのため、スタッフからすると「必要だと思うけど、聞きづらい」という心理です。
このような時はどうしたらよいでしょうか?
答えは、【前置きトーク】を入れることです。
【前置きトーク】とは、事前に誤解を与えないように前置きした上で、伝えたいことや聞きたいことをしっかり言えるようにするためのトークです。
つまり、【前置きトーク】とは
・事前にその許可を得る
ことです。
例えば、冒頭の補綴コンサルの場合はこんな感じです。
「まず、以前治療した時のことをお聞きしたいのですが、これは人によってはつらいことを思い出してしまうことにもなるため、無理にお答えいただかなくても大丈夫です。ご質問の後、可能な範囲でお答えいただくか、それはちょっと話しづらいです、とおっしゃっていただければと思います。よろしいでしょうか」
というように【前置きトーク】を入れます。
許可を患者さんに得た上で、補綴コンサル時に冒頭の質問をお聞きするのであれば、ずいぶん気持ちも楽に聞けるのではないでしょうか。
勤務医に開業場所について伝えたいことがあるが誤解されないか不安です

某院長から次のような相談がきました。
「当院の勤務医が、当院から3km先くらいで開業をしようとしていたと業者の方から報告を受けました。
幸いにもその話は破談になったようで、現在は新たに土地探しから行なっているとのことです。本人からは何も報告は受けておりません。
今後、また近くに良い物件がでてきたら、そこで開業しかねないと思います。彼が開業後もできればよい付き合いをしていきたいと思っているので、こういう場合はどのように対応するのが良いでしょうか」
これは端的に言えば「当院の近くで開業しないようにしてほしい、開業後も良き付き合いがしづらくなるしね」という意図を勤務医の方に伝えたいのだけど、どう伝えたらよいか分からない、ということです。
勤務医の方は「医院の近隣に開業するのはよろしくないのは重々分かっている、しかし3,4kmも離れているなら大丈夫じゃやないか」と考えていて、院長の考えとズレていることが考えられます。
そのため「院長が考える開業場所の選定基準について伝えたい」のですが、それを直接言うと誤解されるかもしれないわけです。
これにも先ほどの【前置きトーク】が使えます。
2)院長が考える開業場所の選定の基準について
の順番で伝えることが大事だと思います。
具体的にお伝えしていきます。
『実は、あるところから***先生(勤務医)が開業の場所に***を候補にしていたことを聞きました。当院を卒業した先生にはぜひ素敵な医院をつくっていただくために、私も惜しみない協力をしたいと思っているのは知ってくれているよね。
ただ、少し気になったのが開業の場所なんだよね。開業の場所が当院から近すぎると、私も惜しみなく協力というのは、少し抵抗がでてきてしまうんだよね。そこで「どれぐらい離れていると私が惜しみなく協力したい、開業後も助け合っていきたい」と考えているについて念のために伝えさせていただいてもいいかな。こういう話は今まで話したこともなかったしね』
2)院長が考える具体的な距離とその理由
『***先生の開業後も良き付き合いをしながら、共同研修会などやっていくために、5km以上は当院から離れた場所で開業してもらえればと思っています。
5km以内だと何かと患者さんの行動範囲が重複するしね』
あと最後に『これはあくまで私の考えなので、***先生の考えも聞かせてもらえないかな』と伝え、自分の考えを一方的におしつける気はないことを勤務医に伝えると、お互いにとって良い話し合いができると思います。
【前置きトーク】いかがでしたでしょうか。
これを使うことで、聞きたいこと・伝えたいことをあいまいな表現にしなくても、相手も受け取りやすくなります。
患者さんやスタッフに「聞きづらいな・・」「言いづらいな・・」という感情が湧き起こったら、この【前置きトーク】を思い出して、使っていただければと思います。
最初は意識して使う必要がありますが、そのうち自然と【前置きトーク】が出てくるようになり、コミュニケーションが円滑に、精神的にも楽になってきますよ。