院長1人の力も大切ですが、共に働くスタッフの力の結集が、医院の大きな成果につながります。
そのため実際に成果が表れてくると、院長としては「給料をアップして、スタッフの頑張りに報いてあげたい!」という気持ちになります。
しかし、そこには落とし穴もあります。
この落とし穴を見落としたまま給料アップを実行すると、
- スタッフが思ったよりも嬉しそうじゃない
- 「もっとして欲しいことがあった」と言われてしまった
など、せっかく給料アップしたのにスタッフが喜ばない…という結果になってしまう可能性があります。
スタッフのことを思っての行動なのに、これでは悲しいですよね。
重要なのは、【スタッフが本当に望んでいることをまとめ、その要望を調整して叶えること】です。
今回は「リコールが順調に増えてきたので、スタッフの給料をアップしたい」と考えている院長向けたお話です。
Contents
スタッフの給料を150%にアップしたい院長

栃木県で開業している歯科医院の話です。
ユニットは6台、スタッフは12名で、近頃のリコール数は来院者全体のほぼ半数となりました。
この医院では、歯科衛生士が中心となり活躍しています。
そんなある日、院長からユメオカのコンサルタントへと、スタッフの給料アップについて相談がありました。
院長:スタッフは本当によく頑張ってくれています。そのおかげでユメオカさんの4バランス定義のリコール率は、都会ではありませんが50%を超えました。
コンサルタント:それはすごい、着実に予防歯科を推進してきた成果ですね。リコール来院者は医院の資産ですよ。
院長:そうですね。そこで相談なのですが、いつも頑張ってくれているスタッフのためにも、今後はスタッフの給料を思い切って150%まで上げられるようにしていきたいなと思っているんです。
コンサルタント:それはすごいことですね。どれぐらいの期間で考えていますか?
院長:3年くらいで考えています。
コンサルタント:なるほど。ちなみに、スタッフの方々はそれを希望されていますか?
院長:…いや、望んでいるんじゃないですかね。誰しも給料が上がれば嬉しくないですか?
コンサルタント:もちろん、お給料のアップは嬉しいことだと思います。その中でも、スタッフ達は優先順位の第一位として給料の150%アップを望んでいそうですか?
院長:いや~、優先順位までは考えたことなかったです。スタッフの頑張りに、給料で応えたいとばかり考えていました。
院長は少しトーンを下げてしまいましたが、最終的には
「盲点でした、しっかりとスタッフに確認しないといけないですね。相談しなければ、このままスタッフの希望も聞かず、給料アップに向けて突っ走っていくところでした」
と、納得されていました。
スタッフの要望は給料アップだけではありません

院長はスタッフ達のがんばりに報いるために「給料を150%アップにしていていきたい」と考えていました。
スタッフの頑張りに報いるということは、とても素晴らしいと思います。
しかし、このように
「がんばりの報いは、何より給料アップだ」
という考えは、男性的なものです。
女性が仕事に求めるものは、給料アップに限りません。
どちらかと言えば、プライベートや家庭との両立を重視する傾向があるようです。
そのため女性中心の歯科医院では、スタッフが給料アップを第一に希望していないこともあるのです。
例えば歯科医院のスタッフに待遇に関する要望を聞いてみると、以下のものが挙がりました。
・給料や賞与のアップ
・1週間程度のリフレッシュ休暇
・子供が病気の時でも安心して休める制度
・もっと余裕のあるシフトづくり
・設備を増やしたい
・ゆっくり休憩できるようスタッフルームを広くしたい
・スキルアップできる教育環境
給料アップは、これらの要望の中の1つに過ぎないのです。
そのため、院長とスタッフの間で要望を調整することが大切になってきます。
院長は良かれと思って給料150%アップを実現したものの、スタッフに
「給料アップはとても嬉しいけど、それよりも〇〇の方をして欲しかった」
と言われたら、とてもショックですよね。
また、「給料が150%までアップしなくてもいいから、それとは別にスタッフルーム環境の改善と安心して休める制度が欲しい」と言われてしまうことも十分に考えられます。
給料アップだけが全てじゃない、スタッフの要望をできる限り叶える方法があります

では、スタッフの要望をどのように調整していけばいいのでしょうか?
そもそもスタッフの要望は、どんなタイミングで、どのように聞き出せばいいのでしょうか?
例えば、院長がある日突然、
「今後はスタッフの給料を150%に上げていきたいと考えています。それ以外にも要望があれば検討したいので、出してもらってもいいですか?」
と質問しても、スタッフは返答しにくいものです。
そこで私がオススメしている方法は、ビジョンシートを作成してスタッフに共有するというものです。

こちらの図で見ると、先ほどお話したように「給料150%アップ」は院長が実現したいビジョン項目の1つに過ぎないことがわかりやすいかと思います。
このビジョンシートのスタッフ向け項目の中に、【スタッフのために実現したいビジョン】を記述します。
例えば、
・1年後に教育環境の整備
・3年後に給料150%アップ
・5年後にリフレッシュ休暇制度
というものです。
ビジョンシートにこれらを記入することで、医院ビジョンの全体像がスタッフにも伝わる効果があります。
医院ビジョンの全体像とは、
・医院の方針
・診療メニュー
・重点を置く分野
・ユニット&スタッフ構成
・売上・リコール数など
・求める人材
・スタッフ環境
というように、医院が重要視していて、スタッフにも理解していてほしい事項のことです。
今回のようなスタッフの待遇に関する案は、医院ビジョンの全体像では「スタッフ環境」にあたります。
完成したら、このビジョンシートを院長案としてスタッフに提案します。
そして、スタッフから出た要望を叶えられるよう、調整しながら修正していきます。
これが、給料アップに囚われない、スタッフが本当に希望していることをできる限り叶える方法です。
ビジョンが力をもって動き出す

院長がビジョンを作成するにあたり、ユメオカではコンサルタントによる
・ビジョンシート案の作成(院長の話をヒアリングしながら)
・スタッフとの意見を調整する(ミーティングや個別面談にて)
といったサポートを行っています。
ビジョン作成に第三者が入ることで、院長の考えをビジョンシートに反映させやすくなります。
また、スタッフの要望をヒアリングして整理することで、優先順位を導きやすくなります。
このようなプロセスを経て作成されたビジョンシートは、力をもって動き出します。
スタッフが納得して院長と一緒に作ったビジョンは、スタッフが自発的に行動できるようになるきっかけとなるからです。
あとは定期的(6カ月に1回ぐらい)にシートを見直しながら、進めていけばよいだけです。
具体的な進め方としては、ユメオカの4バランス経営を基に数値を共有しながら、アクションプランを作成して進めていきます。
スタッフのがんばりに報いるために給料150%アップを目指すことは、あくまで院長のビジョン項目の1つに過ぎません。
そのため、給料アップを目標に走り出すと、途中で息切れするか、頑張って実現したとしてもスタッフは思ったよりも喜んでくれない…という結果になりかねません。
大切なのは「スタッフは給料をアップすれば喜ぶ」という考えに囚われず、スタッフが本当に望んでいることをまとめて、その要望を調整して叶えることです。
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関連教材

「スタッフの給料をアップしなければ」と、漠然と考えていませんか?
勤続年数が増えれば自然と昇給していくシステムでは、【原資が増えないのに給料ばかりが増える】という事態になりかねません。
重要なのは、昇給基準を設けることです。
シンプルに言えば「一般・チーフ・マネージャー」もしくは「一般・チーフ」のポジションにおいて、昇給の幅を先に決めておくことです。
具体的には「どれだけ勤続年数が増えてもチーフに昇格しなければ、固定給は******円以上は増えない」と定めます。
このように、昇給・賞与の決め方をシンプルにする考え方&方法を、ユメオカではダウンロード教材(動画・付録資料一式)として提供しています。
それが、
□『20人以下の医院のためのスタッフ昇給、賞与、院長報酬』
です。
こちら以外にも、定期会員制プログラム【予防型経営★実践アカデミー】の中から、下記7本の教材を単品(@税込6,600円)にてご提供しています。
1テーマごとに毎月30~40分ほどの映像コンテンツと、医院で編集して使えるツール類がセットとなっています。
□『後継者問題を解決する40代からはじめる価値ある医院づくり』
□『育成カリキュラム作成・活用法 ~ 歯科医師、歯科衛生士版 ~』
□『20人以下の医院のためのスタッフ昇給、賞与、院長報酬』
□『空き時間の有効活用でより働きやすい医院へ』
□『医院一丸になり患者さんに集中できる一人必要売上の共有』
□『日常では気づきにくい予防型歯科医院で働くやりがい』
□『給与明細の見方★院内勉強会』
▼1本税込6,600円で提供している7教材の詳細は、こちらからご確認いただけます。
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