スタッフの考えていることが分からない!このような医院向けの解決法があります

開業すると院長は診療のことだけでなく当然、経営のことも考える必要があります。

そのため、勤務医時代にはスタッフと仲良くできていた歯科医師の先生でも、開業するとスタッフとの関係性が上手く築けなくなることが多くあります。

それは「一定の利益も残しながら、次のステージにいきたい」といった経営者としての見方が加わることにより、スタッフに対して厳しいことも言わなければならないことも生じるためです。

一方でスタッフの誤解から退職が続くと、それは医院運営上の影響も大きくなります。

このジレンマに悩み、診療が手につかなくなる経験は開業医の方なら誰でも経験はあると思います。

その時に院長方が共通して思うことは「スタッフは何を考えているのか分からなくなった」です。

そこで今回は、このような踊り場にきた医院さんの院長の想いとスタッフの考えのギャップを取り上げ、その解決策の手順を記します。

 

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院長はスタッフに優しいのに、スタッフの退職者が多い医院には理由があります

「(総勢スタッフ7人で)この1年でスタッフの退職者が3人もでた」

「院長はスタッフに気を使っているが、スタッフの退職が止まらない」

このように聞くと、あなたはどのような医院をイメージするでしょうか。

・院長がスタッフに厳しい

・院長はスタッフの意見をほとんど聞かない

・院長がスタッフを大切に扱っていない

・残業代を支払っていない

・給料が低い

こんな感じでしょうか。

しかし、この医院の院長はスタッフを大切に扱おうと毎日、声かけをしっかり行っています。

朝と帰り際には、必ず一言ずつスタッフへのねぎらいも欠かしません。

そして院長はとても明るく、患者さんにも評判が高く、口コミ患者さんがとても多い医院です。

ではなぜ、スタッフの退職が止まらないのでしょうか?

まず院長にその点について聞いてみました。すると、

『この求人難の時代にスタッフの退職は、医院運営に大きな影響を与えます。

だからこそ、スタッフには明るく声かけをしています。

また、給料や時給も周辺医院より少し高めに設定しています。

そして経営がもう少し安定してきたら、医院旅行にも行きたいし、長期休暇とかも取得できるようにしたいです。

でもスタッフが退職してしまうのは、この医院に何か不満があるのでしょうが、何が原因なのかは私もよく分からないのです』

という回答でした。

 

「院長がスタッフにしてあげたいこと」と「スタッフが要望したいこと」は違います

 

このような院長の話を受けて、歯科衛生士、歯科助手、受付でそれぞれ主となるスタッフ3人に個別で「医院の状況と退職者が多い理由」について話を私が聞いてみました。

その結果、3人から次のような話を聞くことができました。

Aさん(歯科衛生士):
・勤務しはじめて6カ月程度

・院長の治療方針に共感していて、自分にとっては居心地の良い医院

・院長が優しすぎる、スタッフに合わせすぎなような気もする

・その一方でまだ2か月の新人歯科衛生士のDさんは院長からのプレッシャーを感じ、疲れている

 

Bさん(歯科助手):
・勤務して2年、前の医院からなので6年くらい院長と一緒に働いている

・普段、院長はとても明るく、話しやすい

・しかし院長が「待てない」ことが、新人を暗に怖がらせている

・また院長は機嫌がかわりやすい人、自分は長く院長と一緒に働いているので気にならなくなったが、新しく入ってきたスタッフは不安に思うため、自分がフォローしている

 

Cさん(受付):

・院長の勉強熱心なところ、治療が丁寧な点がとても共感して働いていて、自分もより成長したい

・院長がスタッフに気を使い過ぎていると思う、院長自身も疲れてしまっているのが心配(診療などにも影響出ていると思う)

・院長がスタッフをより信頼してもらえば、もっと医院の雰囲気も良くなると思う

そして、この3人の話から要点を整理すると

○院長の診療方針、患者さんへの向き合い方にはスタッフの共感度が高い

○院長の機嫌次第で院内の雰囲気が悪くなる

○特に新人のスタッフは、無意識に院長にプレッシャー(いつまでにこれぐらいできるように!)をかけられ、想像以上に負担を感じている様子

○「さぼっているのではないか」とスタッフの動きを院長が常に気にしていて、スタッフは院長に信頼されていない感じがしている

○長年、一緒に働くと院長の性格も分かりストレスは少なくなる

です。

ここから、院長がスタッフにしてあげたいことの「皆で頑張って良い成果が出てきたら、院内旅行や長期休暇取得制度の導入」とスタッフの要望である「プレッシャーを減らして、もっと院長に信頼してほしい」は全く違っていることが分かります。

そして、これは成長意欲が高く頑張っている院長の医院には普通にあることです。

院長は分かりやすい形(旅行、休暇、賞与)でスタッフに還元してあげたい!という男性脳で考えていますが、スタッフはそんなことより、もっと居心地のよい職場になって欲しい!と思っています

とりわけ「さぼっているのではないか」と思う院長の心配は経営がまだ軌道にのっていない(損益分岐点を安定的に超えていない)状態の院長であれば、実は誰でもあることです。

といいますのは、経営がギリギリだど顧問税理士さんなどからは数字だけを見て「人件費率が高いですね」と言われます(「人件費率が高い」という言葉は、院長に単に”焦り”を与えるだけで、何の解決にもなりません)。

そのため「余計な残業代が出ないようにしたい、キャンセル発生時にスタッフが遊んでいてもらっては困る」と思うのは経営者として普通のことでしょう。

これは院長の性格の問題ではなく、どうしても目先しか見えなくなっているために起きてしまうどこの医院でも起こりやすい共通した現象です。

経営が軌道にのる第1ゴール(お金が減らない売上)を明確にし、そのギャップに焦点を当てれば、このような不安は少なくなります。

例えば、細かな残業代よりもスタッフ退職によるコスト、診療集中度が減ることによる売上減の影響の方が明らかに大きいはずです。

例えば、現状450万円/月の売上で、お金が残りはじめる売上が500万円/月(以下、第1ゴール)であれば、ギャップは50万円です。

診療の集中度があがれば、このギャップは比較的早期にクリアしますが、目先の不安に意識が集中してしまい、スタッフ退職が続くと1年経っても解決しないというようにです。

そのため、第1ゴールをスタッフと共有し、そこに向かって皆で取り組むことに集中した方が今の苦しい状況を早く脱することができます。

院著とスタッフのギャップを早期発見し、前進する手順を以下にまとめます。

1) 第1ゴールを明確にする(お金が減らない売上、もしくは一定額お金が残る売上)

2) 第1ゴールを達成するための条件を書き出す

3) 第1ゴールをスタッフと共有する

4) 第1ゴール達成の条件についてスタッフの意見を聞く

5) 院長とスタッフのギャップ・誤解を減らし、第1ゴールを共に目指す

このように第1ゴールを明確にしてスタッフと共有し、院長とスタッフのギャップを埋めていくことは、新患増やキャンセル率削減よりも重要なことです。

しかし、この問題は「新患数を増やす」「自費率を上げる」という課題とは異なり、院長1人で解決しようとすることは難しいものです。

そこで我々のようなパートナー型コンサルタントの活用も1つの解決法として選択肢にいれて今の状態を乗り越えるか、この状態でしばらく試行錯誤するの判断をお勧めいたします。

上記のことを頭で分かっていても、一人で取り組んでいると、どうしても目先のコスト増に目がいってしまいがちなのは、あなただけではありません。

そして、税理士さんなどが良く言う「先生の医院は、人件費率が高いですね」という言葉に院長の心が振り回されると、何も解決しないことを付け加えておきます(安易なこの言葉がいかに院内を混乱されるかを分かっていない税理士も多いだけです)。

1人で悩まず、院長とスタッフのギャップを少なくするためにコンサルタントに医院状況を相談してみる

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ABOUTこの記事をかいた人

丹羽 浩之

株式会社ユメオカ代表 丹羽浩之。 ユメオカとは「夢とお金の作戦会議」の略。 2004年に独立後、現在までに教材は30種類以上を開発し、全国3,000医院以上がユメオカ・ノウハウを活用し予防型経営に取り組んでいる。 そして全国8名の提携コンサルタントによるコンサルティング、【会員制】予防型経営★実践アカデミー、【会員制】歯科『採用★定着』実践ラボを主催している。 また予防歯科、予防医療の普及に最も精力を注いでいる。 座右の銘は「得意淡然、失意泰然」。