スタッフの長期定着を推進したい!一方、昇給は上限はどうするか?

現在のような「求人難、慢性的な人手不足」時代には、スタッフの長期定着は、私が言うまでもなくとても重要になっています。

長く定着してくれるスタッフは本当にありがたいのですが、同時に昇給問題も起こります。

それは「昇給をいつまでし続ける必要があるのか?」という問題です。

今回は、長期定着を推進する一方で、昇給問題を漠然と心配する院長向けに1つの解決策を記事にしました。

スタッフの長期定着は必要ですが、昇給と人件費率が不安になってきます

開業7年目の某歯科医院を経営する院長からの相談です。

「当院は比較的スタッフの定着率が高く、5人でスタートした医院が今は14人になっています。

4人のオープニング・スタッフも残ってくれていて、とても感謝しています。

しかし、これまで昇給もし続けているため、これからいつまで続けたらいいのかと、たまに不安になったりもします。

これまでのように医院が成長し続けることは難しいため、このままだと人件費率だけが上がってしまいかねません。どうしたらよいものでしょうか」

このように悩まれている院長は多いはずです。

これまで一緒に頑張ってきてくれて、この求人難の時代にも、長く定着してくれているスタッフがいることは本当にありがたいことです。

しかし、人件費率の上昇も経営上、院長が心配になるのは普通のことです。

そして、このような院長は

・昇給幅を少なくしようか

・昇給自体を入職後5年までと期限をつけようか

と思いながら、このような制度に変更したら既存スタッフが、

・がっかりしてテンションが低くならないだろうか

・辞めてしまったりしないだろうか

と不安が襲ってきます。

「昇給に上限を設けながらも、やりがいをもって働き続けてもらうことは不可なのか?」

この質問が院長の頭の中をグルグル回る感じになります。

一般的に医院も開業後5年くらいは毎年、一定以上に成長し続けると、医院の規模も拡張し、スタッフ人員も増やしていく必要があります。

しかし、ある段階で必ず停滞期が生まれます。

10年以上にわたって一直線で成長しつづける医院は、分院展開を次々と行う医院以外は難しいものです。

そして停滞期には、今の規模を維持しながら「医療サービスの質向上」「新たな診療メニューの導入」といった新たなテーマに取り組むことになります。

その後、再び成長していく医院もあれば、今の状態をキープしながら運営していく医院もあります。

それらは院長が描くビジョンによるため、正解があるわけではありません。

いずれにしても共通するのは、医院の成長は一時的に鈍化、停滞期に入るということです。

この時期に冒頭のような昇給問題が起こります。

スタッフに長く定着してもらいながら、昇給に上限を設ける方法

この解決策について結論を先に言えば、

「例えば、各職種別に3つのステージ(一般、チーフ、マネージャー(幹部))を設け、そのステージが変わらないと一定の給料水準で昇給はストップするという制度をつくります。

つまり、各ステージで給与の上限があり、そこまでは昇給し続けるがその後は、ステージが一般からチーフにというように変わらないと昇給しない制度です」

このような制度(以下、【ステージ別昇給】)を設けます。

よく評価制度を作ってその評価に応じて昇給を決める、評価の内容によっては昇給は0円にするという仕組みをつくる歯科医院がありますがこれは中々、機能しません。

機能する歯科医院は事務長などがこの評価制度の専任者として、しっかりと回している医院ぐらいです。

というのは評価制度は、運営するのに院長もスタッフも時間がとられ、スタッフのモチベーションを加味すると、結局、昇給0円にはならないことが多いからです。

100万円近くの費用をかけて評価制度をつくりながら、ほとんど使われていない歯科医院を私は多くみてきました(どでかいキングファイルだけが本棚にあり、埃がかぶっている医院です)。

評価制度は、院長が診療もしながら定期的に実行できるものではありません。

それよりも上記のような【ステージ別昇給】を職種別に作ってシンプルに運営します。

シンプルというのは評価自体は極端な話、なくてもよいぐらいです。

それは毎年、決まった額を全員昇給して、上限になったらストップするからです。

もちろん、簡単な評価を入れて昇給幅を変えてもよいのですが、複雑にしすぎると、ほぼ機能しないのでおすすめしません。

そのため、スタッフ20人以下の歯科医院には【ステージ別昇給】をつくるぐらいでちょうど良いと私は思っています。

そして、この【ステージ別昇給】の運営の肝は「先に言えば説明、後で言えば言い訳」です。

つまり、【ステージ別昇給】をスタッフの入職時に必ず説明しておくことです。

場合によっては、その内容をビデオで撮影して、入職時に見てもらってもよいでしょう。

既存のスタッフについては、

「これまで昇給を特に理由なく行ってきました。医院が成長していたので問題なかったのですが、医院の成長もこれからずっとできるものではありません。

また、スタッフ数も14人と増えてきたため、昇給の制度を少し変更することにしました。それをこれから説明したいと思います」

というようにして、【ステージ別昇給】を説明するタイミングを設けます。

院長が、こういった話をスタッフには話しにくければ、社労士やコンサルタントなど第三者に説明を依頼するのも1つの選択肢です。

また、そのタイミングは、チーフやマネージャーといった役職を初めて設置する時でも良いでしょう。

スタッフにとっては昇給が単純になくなるわけではなく「ステージ(役職)が変わらなければなくなる」ため、それほどテンションが落ちるスタッフもいません。

これまで順調に医院が成長してきて、スタッフ数が10人を超えてきた医院は、この【ステージ別昇給】を取り入れることを考えてもよいタイミングです。

繰り返しますが「先に言えば説明、後で言えば言い訳」これを行えば、うまくいくはずです。

1アクション
【ステージ別昇給】を作成する

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ABOUTこの記事をかいた人

丹羽 浩之

株式会社ユメオカ代表 丹羽浩之。ユメオカとは「夢とお金の作戦会議」の略。2004年に独立後、現在までに教材は30種類以上を開発し、全国3,000医院以上がユメオカ・ノウハウを活用し予防型経営に取り組んでいる。そして全国8名の提携コンサルタントによるコンサルティング、【会員制】予防型経営★実践アカデミー、【会員制】歯科『採用★定着』実践ラボを主催している。また予防歯科、予防医療の普及に最も精力を注いでいる。座右の銘は「得意淡然、失意泰然」。