こういったことをセミナーで教わったのか、生活背景を一生懸命聞こうとする医院さんがあります。しかし、これは逆効果です。 初診カウンセリングで大切なのは、患者さんから(生活背景を含め)情報収集することではありません。また、誰だってはじめて会った人に自分の生活背景を話すことはないでしょう。 個人情報管理がますます重要な時代になっているのに、普通はそんな無防備なことはしないはずです。そこで大切なのは初診カウンセリングの目的の原点に戻ることです。 この点について「生活背景がなかなか聞けない」と悩む某院長の相談に答える形でお伝えしていきます。
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初診カウンセリングは患者さんを探ることではありません、共感・安心感をもっていただく目的で行います
初診カウンセリングを導入しても、スライドをただ流し読みするだけ終わってしまうのは、ただの説明です。
そのため、患者さんの思いや生活背景(働いているか否か、子供さんの年齢、趣味など)を聞くことで、できるだけ患者さん1人1人に寄り添った治療を行っていきたいと考えている医院さんも多いと思います。
しかし、実際に初診カウンセリングの中で、上手く患者さんの生活背景などが聞けないという悩みを持つ医院さんは少なくありません。
そこで、貴院と同じように悩まれている医院さんから相談内容です。
今年に入り、初診カウンセリングと補綴選択カウンセリングを本格的に導入したのですが、初診カウンセリングの時に、患者さんの生活背景をうまく聞く方法がわかりません。 仕事のことなどは、患者さんから話してくれる場合もありますが、趣味やお金の事などはひとつ間違えばデリカシーのない質問になってしまいますし、どのように聞いたら良いでしょうか?
この【相談例】のように、ご自身から積極的に話してくれる患者さんは苦労しないのですが、大半のそうではない患者さんへの対応には困りますね。
例えば「どのようなお仕事していらっしゃるのですか?」といった質問はデリカシーがなく、患者さんによってはご立腹されることもありますね。
結論としては、無理に患者さんの思いや生活背景を聞こうとしないことです。大切なのは話しやすい場づくりにフォーカスすることです。そこでこの相談の回答を次に記します。

患者さんにデリカシーがないと思われるのは、医院側のスタンスを明確にしていないたからです
カウンセリングを本格的にはじめられたのですね。また、貴院は延べ来院数で1,200人/月も来られているため、リコールも自費も大きな可能性がありますね。 そして今回のご相談は「患者さんの生活背景を聞く」方法ですね。 おっしゃるように直接的に患者さんの生活背景をお聞きするのは、デリカシーがなく嫌がられる患者さんも増え、逆効果になりかねません。 そこで、医院が患者さんの生活背景をお聞きしたい目的に戻ります。それは「患者さん1人1人の不安や疑問にできるだけ寄り添い、安心感を持って治療していただくこと」だと思います。 この前提で前置きトークの設計「目的 ⇒ 事例 ⇒ 質問」をします。例えば、以下です。 「当院では患者さん1人1人の不安や疑問を受け止め、安心感を持って治療できることを大切に考えています。 それは例えば『これまで歯科医院で大変だったために、歯科に対する不安が人一倍ある』や『ご主人の転勤があるため、長くかかる治療は不安』や『しっかりと治療方法の説明を受けた上で保険か自費かの治療を選択させてほしい』といったことです。 ●●さんも、もし今の時点でこのような不安や疑問があれば、お聞かせいただき今後の治療に活かさせていただきます、いかがでしょうか?」 このように目的をしっかり伝えた上で不安や疑問の事例をあげて患者さんが応えやすくする方法を初診カウンセリングの中に取り入れるのが良いと思います。 また、このように質問をしても「特にないです」というように話したくない人も中には必ずいらっしゃいます。 それはそれで受け止め、それ以上を深堀せずに「承知しました、また何かあれば治療途中でもおっしゃってくださいね」としておけば、大丈夫です。 無理やり聞こうとすると、前述の「デリカシーがない」といった逆効果になりますからね 生活背景についてお聞きできるのは、その患者さんに共感・安心感を提供でき結果の1つに過ぎません。
以上が患者さんが、話しやすい場づくりの前置きトークです。
このように話された患者さんはどう思うでしょうか?
「自分の事情を考慮して治療をしてもらえるのはありがたい、それなら自分の状況を少し話しておいた方が良さそうだ」と判断される方もでてくると思います。
もちろん、全員がそうなるわけではありません。しかし、初診カウンセリング時にこのような前置きトークをすることで、患者さんは随分と話しやすくなるはずです。
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