歯科医院のDX化を成功させるためには手順があります

2020年から様々な業界でデジタルトランスフォーメーション(DX)が活発化しました。

コロナ禍における在宅勤務の推進などもあり、DX化は皆さんが想定していたよりも強制的に進んだ年となりました。

そして、2021年もその流れは止まるどころか加速していくことでしょう。

なぜなら、菅政権の目玉であるデジタル庁の創設が2021年9月に予定されているからです。

そこで今回は、歯科医院のDX化について、『補助金ありきでやると失敗する理由・上手くいくための手順』『DXによって歯科医院はどのように変わるのか』を、整理し、記述しています。

DX化について興味がある、検討している院長に、多くのヒントや気づきとなることでしょう。

Contents

2021年は医院のデジタル化を推進する補助金が増えるでしょう

2020年9月に発足した菅政権の目玉政策は2つ、「デジタル庁」と「地方創生」です。

当然、2021年はこの2つに力を入れてくるでしょう。

デジタル庁の創設にあたり、社会全体のデジタル化に伴う助成金関連が増え、企業や医院のデジタル化を後押ししてくれると考えられます。

そもそも、デジタル化を推進する国の目的とは、生産性向上と、その結果として賃金アップさせることです。

先進諸国の中でも下位にある日本の最低賃金を大きく底上げしたいという思惑でしょう(2019年の最低賃金は日本が時給840円程度、1位のルクセンブルクは時給1,300円で、約1.5倍も違います)。

しかし、歯科医院が助成金ありきで設備投資やデジタル化を推進しようとすると、あまり上手くいきません。

というのも、2020年にはIT補助金やものづくり補助金が話題になりましたよね。

ものづくり補助金なら、設備投資などで全体の2/3~3/4は補助してくれますが、当然、自己負担も0ではなく、1/3~1/4は発生するわけです。

また、補助金の申請に伴う専門家への手数料なども発生します。

いくら専門家に依頼したとしても、資料を集めるなどの作業は医院側で行う必要があるため、相応の時間もとられてしまいます。

そのため「補助金があるから、新しい設備を買おう」という軽い気持ちで申請すると、仮に採択され設備を購入できたとしても、ほとんど使われず“医院のオブジェ”になってしまいかねません。

医院のデジタル化は目的と全体像の明示からです

医院をデジタルトランスフォーメーション(以下DX化)していくのに大切なのは、目的と全体像を明示することです。

まずは目的です。

医院をDX化する目的は何でしょうか?

  • サービス品質の向上
  • 生産性の向上

などがあるかと思います。

DX化によってこの目的がどのような形で実現可能になるのか? をまず整理してみます。

例えば目的が『サービス品質向上』であれば、『オンライン相談を導入すれば、患者さんがどのようなメリットを得られて満足感につながるのか』を考えます。

目的が『生産性向上』であれば、『予約の自動化や会計をキャッシュレス化すれば受付の予約や会計業務負担が減るが、受付スタッフの空いた時間はどう有効活用するか?』まで決めないと、実際の生産性向上には結びつきません。

次に、全体像を明示します。

医院DX化で影響を受ける業務の領域には【診療】【運営】【患者コミュニケーション】があります。

各々において、どのようにDX化できると理想かを書き出します。

この部分は、専門のコンサルタントにコーチングを受けながら明示してもよいでしょう。

ご自身で明示される方は、以下を参考にしてください。

【診療】…治療前後のシミュレーションが画像で簡単に示されることにより、患者さんの理解が進み納得感が高まる。

【運営】…医院の情報共有の仕組みを変えることで、スタッフ教育も品質も落とさずに、教える側の時間が短縮になる。

【患者コミュニケーション】…診察券アプリを導入することでリコール来院者に画像を送り、自分の状態が把握できる。

また、その来院者のニーズにあった情報を提供することで新しいメニューの提案や物販につながる。

このように全体像を整理します。

その後「当院ではどのような順番でDX化を進めるとよいか」を計画に落とし込みます。

医院のデジタル化には役割の再定義が必要です

DX化を計画していくのと同時に、必要なことがあります。

それはスタッフの役職別に役割の再定義をすることです。

例えば、今まで受付スタッフが会計と予約業務に8割の時間を使っていたとします。

それがDX化によって全体業務の4割まで下がると、4割の時間が空くことになりますよね。

この4割を、患者さんとのコミュニケーションに充てることができます。

しかし、ここで役割を再定義しておかないと、受付が単に患者さんとコミュニケーション(おしゃべり)するだけの存在になりかねません。

そこで、受付の役割を「患者さんと医院をつなぐコンシェルジュ」と定義化したとします。

すると、

  • 待合室にいる患者さん向けたコンシェルジュになる
  • オンライン相談を受け付ける予約枠をつくる
  • 診察券アプリで患者さん向けに情報提供する

このような業務を受付スタッフが担当する、ということになります。

それが結果、自費や物販や紹介増などの生産性向上にもつながっていくのです。

このようにスタッフの役職別に役割の再定義を考えた上で、どの部分に補助金を使って導入するとよいかを検討することが重要です。

あらかじめ考えておくことで、補助金が上手くいかされ、医院に大きな価値をもたらします。

「単に補助金があるから、あの設備を買っておこう」という考えで補助金を使うのとでは、その差は歴然です。

最後に医院のDX化についてまとめると

  • 目的の明示
  • 全体像を書き出す
  • 導入の計画化
  • 役割の再定義
  • 補助金の検討

という順番で取り組むことが重要です。

1アクション
DX化するにあたっての当院の目的と全体像を書きだしてみる

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ABOUTこの記事をかいた人

丹羽 浩之

株式会社ユメオカ代表 丹羽浩之。 ユメオカとは「夢とお金の作戦会議」の略。 2004年に独立後、現在までに教材は30種類以上を開発し、全国3,000医院以上がユメオカ・ノウハウを活用し予防型経営に取り組んでいる。 そして全国8名の提携コンサルタントによるコンサルティング、【会員制】予防型経営★実践アカデミー、【会員制】歯科『採用★定着』実践ラボを主催している。 また予防歯科、予防医療の普及に最も精力を注いでいる。 座右の銘は「得意淡然、失意泰然」。